Chapter 5. Postgres SQLの先進的な機能

Table of Contents
5.1. 継承
5.2. 非原子的データ値
5.3. より高度な機能

PostgresSQLを使った データアクセスの基本を説明してきましたが、ここでは従来の データマネージャとは違ったPostgresの 機能について説明します。それらの機能とは、継承、タイムトラベル、 非原子的データ値 (配列属性と組属性) を含みます。 この節の例は、tutorialディレクトリにある advance.sqlでも参照できます。 (使用法は、Chapter 4 を参照してください。)

5.1. 継承

例として、2つのテーブルを作成します。capitals (州都)テーブルは、 cites (市)でもある state capitals (州都)を含んでいます。

CREATE TABLE cities (
    name            text,
    population      real,
    altitude        int     -- (in ft)
);

CREATE TABLE capitals (
    state           char(2)
) INHERITS (cities);
    
この場合、capitals の列は、全ての列(name (都市名)、population (人口) altitude(標高))を親である cites テーブルから 継承します。 nameのデータ型はtext型で、これは可変長 ASCII 文字列の為の Postgres固有のデータ型です。 populationののデータ型はreal で、 4バイト浮動小数点です。State capitals(州都)には、州を表すために stateという行が追加されています。Postgresでは、 テーブルは0以上のテーブルを継承することができ、問い合わせは テーブルすべての列やテーブル全体とそのテーブルを継承しているテーブルも 参照することができます。

Note: 継承階層は、方向性のあるらせん状グラフです。

以下の問い合わせの例は、標高 500ft 以上に位置する全ての 都市を検索します。

SELECT name, altitude
    FROM cities
    WHERE altitude > 500;
    
結果は下記のようになります。
+----------+----------+
|name      | altitude |
+----------+----------+
|Las Vegas | 2174     |
+----------+----------+
|Mariposa  | 1953     |
+----------+----------+
|Madison   | 845      |
+----------+----------+
    

その一方、標高が 500ft を超える場所に位置する州都以外の都市を検索する 問い合わせは、下記のようになります。

SELECT name, altitude
    FROM ONLY cities
    WHERE altitude > 500;

+----------+----------+
|name      | altitude |
+----------+----------+
|Las Vegas | 2174     |
+----------+----------+
|Mariposa  | 1953     |
+----------+----------+
    

ここでcitiesの前に記述された"ONLY"は、cities の継承階層の下にある テーブルではなく、citiesのテーブルのみを参照することを意味します。 既に説明のあったSELECTUPDATEDELETEなどの多くのコマンドは この"ONLY"表記をサポートしています。

仕様変更に伴い削除されたもの: Postgresの前のバージョンでは、 子テーブルにデフォルトでは接続できないようになっていました。 しかし、これは正しくなく、またSQL99にも反することが わかりました。古いシンタックスでは、サブテーブルを得るためには 下記の例のようにテーブル名に"*"を追加していました。

SELECT * from cities*;
"ONLY"を使って明白に指定しない子テーブルを参照しない のと同様に、今でも"*"を追加して明白に指定された子テーブルを 参照することは可能です。しかし、バージョン7.1以前のものでは デフォルトでは設定されていませんでしたが、バージョン7.1からは デフォルトで、装飾されていないテーブル名は子テーブルも参照する ようになっています。以前のデフォルトの設定にするには、例えば 設定オプションをSQL_Inheritanceをoffに して下さい。
SET SQL_Inheritance TO OFF;
あるいは、postgresql.confファイルに行を 追加して下さい。